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ダメ人間にとっての「さよならを教えて」

ゲーム

疑いもなく自分のことを好きでいられるやつには、絶対にわからない。 自分を肯定できずに生きているということの意味は、絶対にわからない。

(人見広介)

 


さよならを教えて ~comment te dire adieu~ デモムービー

16年前に発売された「さよならを教えて」。発売当初こそ知る人ぞ知るマイナーカルトゲーだったが、インターネットの普及により知名度を上げ、今ではおたく文化に片足を突っ込んでいる人間にとってはメジャーゲーとも言えるだろう。

僕がこのゲームと出会ったのは宅浪をやっていた頃の事。大学受験の失敗により自尊心をズタズタにされ、ダメな自分に失望し、生まれたことを無しにしてほしいと願い、今日できることは明日に回しながら毎日を無為に過ごしていた。世に容れられない想い、己の才能への過信と不安、存在理由の不明瞭さ。そういったどす黒い感情が人見先生を魔術やオカルトの怪しげな世界に引き寄せたように、僕もまた、このゲームに引き寄せられた。

さよならを教えての主人公、人見広介。他人に怯え、恐怖し、様々なコンプレックスを抱えながら、自分の事を肯定できずにいる男・・・。彼は僕そのものだった。僕が抱えていたコンプレックス、考え、想い。それら全てを彼が代弁してくれた。

どうして僕は僕を肯定してくれないんだ?

(人見広介)

縋るものがなく、救われたいと思いながらも、気が狂いそうなほどに続く受験勉強という日常のループから脱出できなかった暗い青春の1ページ。あの頃僕は、このゲームに縋り、人見先生に共感する事で、ある意味救われていた。

嫌だ。意味がないのは嫌だ。

(人見広介)

さよならを教えては、主人公やヒロイン達の抱える悩み、コンプレックスの中に自分の影を見出し、共感し、涙する。そういうゲームだ。

 このゲームを気持ち悪いと一蹴できるならその方が幸せだ。何故なら、このゲームに共感し、没入してしまう人間というのは、少なからず人生が上手くいっていない、いわばダメ人間の方が多いからだ。

でもね、街は燃えても、一番ダメな私は残るの。

(高田望美)

ご注意

・現実と虚構の区別がつかない方

・生きているのが辛い方

・犯罪行為をする予定のある方

・何かにすがりたい方

・殺人癖のある方

※このソフトには精神的嫌悪感を与える内容が含まれています。

上記に該当する方はご遠慮くださるよう、あらかじめお願い申し上げます。

 このゲームの有名な注意書きだが、むしろ僕はこれに該当する人間こそプレイすべきだと感じた。このゲームは、人生が上手くいっている人間にとっては毒になるし、逆に上手くいってない人間にとっては癒しになり得る。そう思う。

僕らダメ人間は様々な悩みやコンプレックスを抱え、苦しみながら今日を生きている。僕も結局人見先生よろしく浪人したにも拘らず大学受験に失敗し、未だに自分を肯定できずにいる。しかし、そんな僕らにあの夕焼けの世界は奇妙な安らぎを与えてくれる。そんな気がするのだ。

  誰だってもともと偶然そこにいるだけで、自分がここにいる理由なんて、自分で作っていくしかないんですよね。

巣鴨睦月)

 

 さよなら。

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